よく言われるところですが、「技術力がない会社は価格競争を勝っていくしか道はない」
建設業界の健全な発展のためには、適正な給与支払いは必然的であると思います。しかし実際には合理的ではない受注者間での値引き競争や、発注者による不当低い請負金額設定など、が後をたちません。
これらにメスを入れることになるのか、国土交通省の「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」(座長:楠茂樹・上智大学法学部教授)は2023年3月29日、民間発注者と受注者の間の新たな関係構築や競争環境の適正化について提言を取りまとめました。
この提言を元に国交省は中央建設業審議会などで制度改正を含む方策を検討するようです。
気になる中身です。まず物価変動にともなう請負代金変更ルールを決める必要があるということらしいです。現状では契約時に請負額を決めてしまう「総価格請負契約」方式が一般的ですが、「オープンブック・コストプラスフィー契約」というのも選択肢に加えるようです。
「オープンブック・コストプラスフィー契約」とは、受注者が工事にかかった原価(コスト)を発注者に開示し、これにあらかじめ発注者と受注者が合意した報酬「フィー」を加えていくというもののようです。原価が急騰した場合など、発注者も「最後はいくらになるのか」わからないと言う意味では、発注者にとってはあまり宜しくない方式と言えるのでしょうかw
さらに今回の提案では「不当に低い請負代金の禁止」の勧告対象を、公共発注者だけではなく民間発注者にも拡大することを提言しています。
さて、どうなりますやら
参考
[1]「不当に低い請負代金の禁止」民間発注者も勧告対象に、国交省の検討会が提言、日経コンストラクション、2023.04.10、https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/01718/