今日はストック効果の最大化について述べます。
【ご注意】
基本的には「技術士建設部門最新キーワード100」[1]の記述を元に以下に述べます。
「0背景と現状把握」「1課題抽出」「2解決策提示」「3評価」「4技術者倫理」の順で述べる予定ですが、学習の進捗状況により、各項の内容を後日追記していく形となる事もあります。(追記なしでそのまま終わらせる場合もあります)
【ご注意おわり】
0.定義と現状把握
0.1ストック効果とは
ストック効果とは完成したインフラによって中長期的に発揮される安全の質確保や生活の質向上などを示します。国交省が2015年に示した「社会資本整備重点計画法(平成15年法律第20号)に基づき、社会資本整備事業を重点的、効果的かつ効率的に推進するために策定する計画」[2]であるとされます。
0.2フロー効果とストック効果
一般的にインフラを整備することによりもたらされる効果としては、フロー効果とストック効果があります。
以下にその概要を見てみましょう
0.2.1フロー効果
内閣府の定義によると「公共投資の事業自体により生産、雇用、消費等の経済活動が派生的に創出され、短期的に経済全体を拡大させる効果」[3]であるとされます。
インフラを整備した結果、生産活動が創出され、雇用が誘発され、所得増加による消費の拡大等によって経済が発展していくイメージです。
0.2.2ストック効果
内閣府の定義によると「整備された社会資本が機能することによって、整備直後から継続的に中長期にわたり得られる効果」[3]であるとされます。
ストック効果としては、以下のような効果が期待できます。
①安全安心~耐震性や水害リスクの低減など
②生活の質の向上~インフラによる生活環境の改善を享受できるなど
③生産性の向上~移動時間短縮。輸送費低下。取り扱い荷の増加など
1.課題抽出
せっかくインフラを整備してもその効果を発揮できなければ、「ただの箱もの」と言われて役に立ちません。そこで、インフラに対して「賢く」投資し、「賢く」使うことで、ストック効果をより積極的に引き出し、最大化する必要があります。
1.1賢く投資するために
〇お金が足りなければどうすれば良い
事業を行うにあたり自治体単独では資金が足りない場合は、民間投資を誘発するなどの手が考えられます。
〇効率的にインフラを運用するにはどうすれば良い
一つのインフラを使うだけではなく、周辺に関連する施設を配置するなどして複数事業を一体的に実施するなどの手が考えられます。
〇使う人が利益を得るにはどうすれば良い
既存施設の機能を高める追加投資を行ったり、ICTを活用した先進的モニタリングシステムを利用するなどの手が考えられます。
1.2賢く使うために
〇施設を効率的に利用するためにはどうすれば良い
施設の運用により得られるデータを活用して、需要状況に応じた運用の見直し等を行う事が考えられます。
〇施設を高度に多機能的に使えるにはどうすれば良い
民間活用(PPP、PFI等を使う)による施設の高付加価値化を行う事が考えられます。
〇施設の現状把握をするにはどうすれば良い
ビッグデータによる施設利用状況の可視化や分析が考えられます。
以上のように、単に「見える化」だけではなく、一工夫二工夫して「見せる化」も進める事が重要です。
[2]社会資本整備重点計画、https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/point/sosei_point_tk_000003.html、国土交通省
[3]ストック効果の最大化を図る社会資本整備の方針、https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg2/281107/shiryou1-3.pdf、内閣府