地盤の液状化はどうして起こりますか?その対策は?~その1メカニズム編

1.地盤の液状化とはどんな現象ですか?

以下に地盤の液状化について述べます。なお、以下に記載したものは学習の進捗によって後日訂正や加筆等がある可能性があります。

本稿は[1]地盤工学(内村)を参考にして文章を作りました。

地盤の液状化とは、地下水で飽和したゆるい砂地盤が地震等の強い衝撃でせん断強さを失い、液体のように振る舞う現象のことです。

2.せん断変形を受けた時の土の性質はどうなっていますか?

2.1土のダイレタンシーが液状化のカギを握る

次に土のダイレタンシーについて述べます。

本稿は[1]地盤工学(内村)を参考にして文章を作りました。

地盤の液状化の原因は土のダイレタンシーにあります。そもそも土のダイレタンシーとは、土がせん断力を受けたときの体積変化の事です。

土はせん断変形を受けた時体積が変化します。排水条件の場合、密な砂は膨張します。これを正のダイレタンシーと呼びます。一方でゆるい砂は収縮します。これを負のダイレタンシーと言います。

非排水条件でせん断された場合にはどうなるでしょうか。非排水条件とは、土のダイレタンシーが起きても水はどこにも逃げられない条件を示します。この場合、密な砂の場合、間隙水を吸い込もうとして水圧が下がる事になります。一方ゆるい砂の場合、間隙水を吐き出そうとして水圧が上がる事になります。

2.2ゆるい砂地盤で地震が起こった場合どうなるか

地震の場合は、短期間に急激にせん断変形が起こる事になります。また地中深くで起こる場合には排水に時間がかかるため、非排水条件下のせん断であると言えます。つまり、先の例でいうと、ゆるい砂地盤が非排水条件でせん断変形を起こし、負のダイレタンシーの状態になっていることになります。つまり間隙水圧が上昇する事になります

2.3「全応力=有効応力+間隙水圧」の式からわかること

土の全応力、有効応力、間隙水圧の関係は、全応力=有効応力+間隙水圧という式で示せます。

全応力とは外からかけられた垂直応力を示します。これは土かぶり圧で決まり、地震で揺れても変化しません。また有効応力とは土を変形させるのに有効な応力です。間隙水圧が増えると有効応力が減少する事となります。

この関係式において間隙水圧が上昇すると、間隙水圧が全応力と等しくなるまで上昇すると有効応力がゼロとなる、つまり無抵抗状態となり地盤の強さを完全に失う事となることがわかります


これが「液状化した」という事ですね。

ちなみに負のダイレタンシー状態となり水を吐き出すとき、砂粒が水分をたくさん含んでいたり、周囲の水位が高い場合、間隙水圧は高くなりやすいだろうな、という事も想像できますね。

3.液状化に対する具体的処理法にはどんなものがありますか?

以上を踏まえて以下に液状化に対する具体的処理法を述べます。

本稿は[2]港湾工学(港湾学術交流会)を参考にして文章を作りました。なお、各対策工法の具体例は、使用する船舶情報等を含めて後日あらためて記載する予定です。

3.1ゆるい砂地の状態を改善する

【現況】間隙比の大きなゆるい地盤である
【対策】軟弱地盤の中に良く締まった砂杭等を設置して上部構造物の加重をその砂杭等に支持させる
【具体例】サンドコンパクションパイル工法など(より詳細は別稿であらためて記載予定)

3.2排水を円滑にすすめる

【現況】排水に時間がかかる(透水係数が小さくて排水距離が長い)
【対策】軟弱土層の水分を透水係数が高い砂やレキで排水経路を作り除去して地盤強度を上げる
【具体例】ペーパードレイン工法、サンドドレイン工法など(より詳細は別稿であらためて記載予定)

3.3地震のせん断変形に対応する

【現況】地震により大きなせん断変形が起こる。粘着力のない砂やレキの層である
【対策】地盤の中に強度がある材料を注入・混合させて地盤全体あるいは壁状にして強度を高め、地盤のせん断変形を抑制する
【具体例】薬液注入工法、深層混合処理工法など(より詳細は別稿であらためて記載予定)

参考文献
[1]内村太郎、地盤工学、株式会社オーム社、平成27年12月、PP206~209

[2]港湾学術交流会、港湾工学、株式会社朝倉書店、2015年3月、PP138~146

地盤の液状化はどうして起こりますか?その対策は?~その2具体的処理工法編

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