カーボンニュートラルポート(CNP)について

カーボンニュートラルポート(CNP)について検討してみました。

背景~「港湾施設で脱炭素化を推進する」ための構想がなぜ必要か

世界的に見るとサプライチェーンの脱炭素化に取り組む荷主が増えています。この中で日本の港湾施設も脱炭素化に取り組むことで国際的な競争に打ち勝つ必要があります。また港湾部には二酸化炭素を排出する産業が多く、これら施設も脱炭素化を推進する必要があります。

このため、国土交通省では、水素・燃料アンモニア等の大量・安定・安価な輸入・貯蔵等を可能とする受入環境の整備や、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化、集積する臨海部産業との連携等を通じてカーボンニュートラルポート(以下「CNP」という。)を形成」[1]することとなりました。

CNPの目指す姿~脱炭素エネルギーの効果的な物流網をめざし、面的効率的に脱炭素化を目指す

CNPが目指方向性ですが、参考文献[2]によるとCNPの目指す姿は以下のようなものとなります。

(1)水素等サプライチェーン拠点としての受入環境の整備をする

脱炭素化を目指すという事は、既存の化石燃料等のエネルギーを利用しない事が重要となります。これに代わる水素等を大量にかつ効率的に配置するためにはどうしたらよいかと言う課題が出てきます。この課題に対しては、以下のような解決策を提示しています。「例えば、メタネーションによる合成メタンのサプライチェーンを構築する際には、既存のLNGインフラを活用し得るように、岸壁や貯蔵タンクなどについて、公共・民間いずれが所有する施設かを問わず、可能な限り既存ストックを有効活用することを検討する」としています。要する既存施設の有効活用を模索するという事でしょう。

一方、コスト削減のためには大型船を活用した大量一括輸送が有利となりますが、水素等は化石燃料よりも容積・重量が大きく、これにどう対処するかが課題となります。この点については「効率的な大量一括輸送を実現する方策として、輸入拠点港湾において大型船の受入環境を整備し、内航船で国内他港へ二次輸送する海上輸送ネットワークの構築等が考えられる」としてます。

これらの施設を整備するにしても、各業界がバラバラに対応を行っても全体最適な状況にはなりません。このためにどうすべきかと言う課題もあります。この点については「輸入拠点港湾の形成を含め、水素・燃料アンモニア等の海上輸送ネットワークの構築については、国全体での最適化を図る観点から、国による水素の供給目標量や燃料アンモニアの国内需要想定等を念頭に置きつつ、また、事業者や港湾管理者等の意向を踏まえ、国が基本的な方針を示していくことが望ましい」としています。

(2)港湾地域の面的・効率的な脱炭素化を目指す

上の方向を目指すために、まずは「港湾オペレーションの脱炭素化を目指す」としています。荷役機械や係留船舶、出入りする大型車両等の脱炭素化を進めるようです。

さらに公共ターミナル、専用ターミナルでも発電所や化学工業、倉庫等の産業との連携を深めてターミナル一体となり面的な脱炭素化を目指すとしています。

そして上の(1)や(2)で多様なステークホルダとの連携で「いかに多くのシナジー効果を生み出すか」との視点が大切であるとしています。


基本的にはこのような考えでCNP構想が進められているようです。なお、参考文献[2]後半には具体的な取り組みの方向についても記載があります。


【技術試験ならどう答える?】私がCNPを推進する技術者の立場だと仮定すると、その推進方法についてどう答える?


*以下の文章は試作品となります。今後学習が進んだ時点で書き換える事となると思います。


そもそもCNPとは温室効果ガス排出を全体としてゼロにする港湾である。
これを実現するためにCNP計画書を作りそれを実行していく必要がある。

そこで、その目標実現に向けた行動を以下のような手順で行う。

①【マネジメント】【リーダーシップ】調査検討すべき項目とその内容


・水素等受け入れ環境の現状把握~水素等受け入れ施設の状況、係留施設の状況等の実態調査、既存施設を活用する場合の価格調査等を行う。


・荷役機械、船舶、出入り車両の実態調査~脱炭素化に向けたオペレーションを行うための資料として実態調査を行う。


・港湾に存在する各種産業の実態調査~多面的な脱炭素化を行うため港湾での直接の利害関係者のみならず幅広い産業の実態把握を行う。

・国の方針の確認、CNP推進人材の確認~国の方針に基づき脱炭素化サプライチェーン構築最適化を行うための手法検討を行う。CNP推進にあたって実施に必要な人材等の検討を行う。

②【マネジメント】手順説明と項目ごとの留意点工夫を要する点


・当該環境の現状整理~手順としては、利害関係情報の整理、水素等受け入れ環境の現状、大型船の受け入れ環境状況、荷役機械、船舶、出入り車両の実態等を整理していく。その際、既存施設の有効活用ができないかの検討、その際のコスト計算や経費負担者の確認、周辺地域への脱炭素化の波及効果の検討も行う。またこの際水素・燃料アンモニア等の需要企業と供給企業、行政機関等の連携を行う余地があるかどうかを検討する。

・国の方針確認とCNP推進方向の検討~手順としては国の想定を念頭に事業者や港湾管理者の意向を調査した結果を整理する。その上でCNP推進の方向性を検討する。この際、当該港湾のみの部分最適を考えるのではなく、国の動きを見た全体最適の視点で考える。

・幅広い利害関係者との協議~検討したCNP推進の方向性を元に港湾関係者、港湾関連企業者のみならず関連産業関係者等幅広い利害関係者も交えて協議を行う。

・CNP形成計画策定と実行~調査、協議を踏まえてCNP形成計画を策定する。その後当該計画をPDCAサイクルで回していく必要がある。またCNP推進において人材活用が必要な場合はその調達方法やそれにかかわる教育方法の指定、経費負担の割り当ても行う。

③【リーダーシップ】関係者との調整方法


本業務は港湾地域全体を対象とするものとなる。そこで幅広い利害関係者との間にカーボンニュートラル情報を一元的に整理共有するプラットフォームを整備し、これを還元していく。またCNP推進にあたって関係者に共有するために作成する資料等は、具体的かつ詳細なものの他に、幅広い対象を想定してワンペーパーで的確な内容が理解できるようなものも作成する。

参考文献
[1]カーボンニュートラルポート(CNP)の形成に向けた施策の方向性とCNP形成計画策定マニュアル,https://www.mlit.go.jp/kowan/content/001447257.pdf,2023年2月22日参照

[2]カーボンニュートラルポート(CNP)の 形成に向けた施策の方向性2021 年12月 カーボンニュートラルポート(CNP)の形成に向けた検討会,https://www.mlit.go.jp/kowan/content/001448303.pdf,2023年2月22日参照

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