港湾の技術上の基準復習 1 「技術基準対象施設」の確認

 海洋港湾構造物維持管理士として、基本的な項目を復習し、足元を固めるために、ザっと主要項目を押さえておきます。これから何度かに分けて記載していこうと思っています。今回はその第一回目の記事となります。

記念すべき第一回目の記事のお題は
「港湾の技術上の基準復習 1 「技術基準対象施設」の確認」
です。 

1. 「技術基準対象施設」の港湾法での記載を確認する。

 港湾法五十六条の二の二では、水域施設、外郭施設、係留施設その他の政令で定める港湾の施設を「技術基準対象施設」とする旨を表記しています。
技術基準対象施設は法令の規定に基づくことはもちろん、国交省が定める技術上の基準にも適合している必要があると条文では言っています。
また技術基準対象施設のうち国交省が公益上の影響が大きいと定める施設の建設改良をしようとする場合、国交省の確認を受ける必要があります。

1.1 「港湾の施設」について港湾法施行令での記載を確認する。

 施行令第十九条では港湾の施設の典型を十二例定めています。なお四~七と十~十二については、それが港湾施設であるものに限っています。(港湾施設であるものの規定は港湾法施行規則第二十八条に規定されています)ざっと見ると以外に幅広く網羅していることを再確認できます。

一 水域施設
二 外郭施設(海岸管理者が設置する海岸法第二条第一項に規定する海岸保全施設及び河川管理者が設置する河川法第三条第二項に規定する河川管理施設を除く。)
三 係留施設
四 臨港交通施設
五 荷さばき施設
六 保管施設
七 船舶役務用施設
八 移動式施設(移動式荷役機械にあっては、自動的に、又は遠隔操作により荷役を行うことができるものに限る。)
九 旅客乗降用固定施設
十 廃棄物埋立護岸
十一 海浜(海岸管理者が設置する海岸法第二条第一項に規定する海岸保全施設を除く。)
十二 緑地及び広場

2. 「港湾施設」と「港湾の施設」の違いについて

 技術対象施設は、港湾法第二条五項で示された「港湾施設」ではなくて港湾法施行令十九条に定める「港湾『の』施設」が該当します。港湾の施設の内容は上に書いた通りとなります。港湾の施設の場合、港湾区域外や臨港地区外にあるマリーナや発電所における水域施設、外郭施設、係留施設等においても技術基準の対象施設となる点が「港湾施設」とは異なります。

しかし港湾施設は、下に示した範囲が定められています。港湾施設と港湾の施設、『の』が付くのと付かないのでは法令上の対象施設が一部異なる点に注意が必要でしょう。

ちなみに「港湾施設」は、具体的には以下のようなものになります。参考までに。

(以下 参考「港湾施設」港湾法第二条五項)

一 水域施設 航路、泊地及び船だまり
二 外郭施設 防波堤、防砂堤、防潮堤、導流堤、水門、閘こう門、護岸、堤防、突堤及び胸壁
三 係留施設 岸壁、係船浮標、係船くい、桟橋、浮桟橋、物揚場及び船揚場
四 臨港交通施設 道路、駐車場、橋梁りよう、鉄道、軌道、運河及びヘリポート
五 航行補助施設 航路標識並びに船舶の入出港のための信号施設、照明施設及び港務通信施設
六 荷さばき施設 固定式荷役機械、軌道走行式荷役機械、荷さばき地及び上屋
七 旅客施設 旅客乗降用固定施設、手荷物取扱所、待合所及び宿泊所
八 保管施設 倉庫、野積場、貯木場、貯炭場、危険物置場及び貯油施設
八の二 船舶役務用施設 船舶のための給水施設及び動力源の供給の用に供する施設(第十三号に掲げる施設を除く。)、船舶修理施設並びに船舶保管施設
八の三 港湾情報提供施設 案内施設、見学施設その他の港湾の利用に関する情報を提供するための施設
九 港湾公害防止施設 汚濁水の浄化のための導水施設、公害防止用緩衝地帯その他の港湾における公害の防止のための施設
九の二 廃棄物処理施設 廃棄物埋立護岸、廃棄物受入施設、廃棄物焼却施設、廃棄物破砕施設、廃油処理施設その他の廃棄物の処理のための施設(第十三号に掲げる施設を除く。)
九の三 港湾環境整備施設 海浜、緑地、広場、植栽、休憩所その他の港湾の環境の整備のための施設
十 港湾厚生施設 船舶乗組員及び港湾における労働者の休泊所、診療所その他の福利厚生施設
十の二 港湾管理施設 港湾管理事務所、港湾管理用資材倉庫その他の港湾の管理のための施設(第十四号に掲げる施設を除く。)
十一 港湾施設用地 前各号の施設の敷地
十二 移動式施設 移動式荷役機械及び移動式旅客乗降用施設
十三 港湾役務提供用移動施設 船舶の離着岸を補助するための船舶並びに船舶のための給水及び動力源の供給並びに廃棄物の処理の用に供する船舶及び車両
十四 港湾管理用移動施設 清掃船、通船その他の港湾の管理のための移動施設

3. 特定技術基準対象施設

 技術基準対象施設の中でも、災害で壊れたりすると影響が大きい施設を特定技術基準対象施設として規定しています。この施設は港湾区域内はもとより、港湾区域外でも20m以内にある施設も指定されることがあります

一 外郭施設
二 係留施設
三 橋梁並びにトンネルの構造を有する道路、鉄道及び軌道
四 固定式荷役機械及び軌道走行式荷役機械
五 廃棄物埋立護岸

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